【留学/交換留学】北欧(デンマーク)や海外と日本の研究室の違い

University of Southern Denmark; SDU(南デンマーク大学)に1セメスター留学をした筆者は,日本との教育システムとの違いに驚きの連発.海外ならではの部分,北欧(デンマーク)ならではの部分など様々.ここでは,驚いた部分から見える日本との研究室の違いを紹介します.この記事では,自然科学系の研究室でのお話しになりますが,他専攻の人も読んでほしいです.

初めに

海外の研究室を生活を想像したところ,あまりイメージが湧かない方もいらっしゃると思うので,参考に1つの動画を下に貼り付けています.

動画は,イギリスのケンブリッジ大学の化学専攻にPhDとして所属するSamuel Dadaさんのvlogです.動画では,午前中に蠕虫(ワーム)を寒天培地に大量培養し,蛍光染色をして画像を撮っています.また,午後はウエスタンブロットという法を用いて,おそらく蠕虫から抽出した特定タンパクの量を計測しています.私自身,蠕虫を扱ったことが無いので,Samuelさんがどういう実験をしているかわかりませんが,実験方法など興味がある方は調べると面白いと思います.また,動画から見る限り機器は一般的のようですが,設備は整っていて,なによりとても綺麗で広い研究室です.

海外と日本との大学での研究室配属の違い

日本の学生は,基本理系では学部3年生までに基礎教養と専門科目を中心に履修したのち,学部4年生から研究室配属をし,1年かけて卒業研究と卒業論文を発表し晴れて卒業できます.なので,基本的に理系学生は,卒業研究をもとにした卒業論文を必ず経験していることになります(数学科等など必須ではない学部を除く).日本人にとって当たり前なシステムですが,これは,結構世界的に見ると珍しいカリキュラムです.

というのも学部生の場合,国や専攻によりますが,ヨーロッパでは,4年間ではなく3年間でカリキュラムが組まれています.卒業論文はあるようですが,日本のように研究室配属をして,そのデータを卒業論文にするということでは無いようです.ですので,日本なら学部生のデータを集めて雑誌論文になるようなことはありますが,海外の卒業論文は,実験ベースの研究領域ではあまり無いのかもしれません.3年間の学士課程を終え,その後,研究をしたい学生は修士課程に続いてPhDに進むというプロセスのようです.日本の大学教育は,研究室に配属される前提で学部教育がなされるので,実は海外よりも研究が身近にあるのではないかと感じます.その観点で見ると日本の大学教育は優れているというように捉えることができるかもしれません.就職にするにしても,組織に所属し,データを集め議論したり発表する機会は大きく役に立つからです.

デンマークでの研究室

実際海外の研究室事情が気になったので,SDUにある一つの研究室を見学させて頂きました.その研究室は,理系の中でも環境学をベースにしている研究室でした.まず,全体的に国立とは思えないほど,綺麗で設備が充実しています.税金が高いからこそ成せるものだとつくづく感じます.また,デンマークに限らず,税金の高い北欧の大学は全て,綺麗でおしゃれです.

羨ましいなと思った点は,日本とどちらが良いかは別にして,配属している学生は研究だけをすればよいことです.海外の大学あるあるなんでしょうが,学生は研究室の掃除や片付け,ゴミ出しはしません.日本だと研究室の掃除は各自で行い,集めたゴミは所定の場所に運ぶ必要があります.

そして,多用するような試薬等は共有で,一つの部屋に集約され,各自が研究室に持っていくようなシステムになっていました.それらの試薬も大学持ちだそうです.日本でも大学によってまちまちだとは思いますが,私の今所属する国立大学では,そのようなシステムはありません.珍しい試薬やキットなら各自購入するのでもいいとは思うんですけど,よく使用する試薬を毎回見積もりを取って購入するのは,正直面倒臭いので羨ましいです.

SDUの実験室

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デンマークでの研究室生活

日本での研究室の生活というと,本当に教授の裁量によって様々です.研究室によっては,長いコアタイムがあり,なんなら,土曜日もコアタイムがあるなんて話も耳にします.朝から晩まで,籠るなんてこともよくある話です.アメリカにポスドク経験のある人のお話しをした際に,州によって様々だと思うけれど,アメリカも日本のように朝から晩まで研究漬けというような酷な環境も珍しくはないとおっしゃっていました.

そんな中で,デンマークにポスドクをしている方にお話を聞くと,基本的に,時間的制約やプレッシャーをかけられることは多くはなく,皆,16:00-17:00前には帰宅するそうです.16:00-17:00になると大学職員が一斉に帰りだし,敷地内の道路が混雑するので,15:00に帰る同僚もいるというお話も耳にしました.家族の時間やお家時間を大事にするデンマーク人らしいといえばらしいです.

また,学会に行ったついでに,その訪問先での家族旅行で数週間休暇をとったそうですが,それは,本人が持ち出したのではなく,デンマーク人のボスから提案されたそうです.

金銭面でも大きく異なります.ポスドクの方も,別の博士の方もおっしゃっていたのは,給料が良い(他の国と比較して)とのことでした.もちろん物価が高いので,ベースは高いですが,デンマークを選んだ理由の一つだと言っていました.また,学部生であっても全員学費はタダな上,国からおよそ10万円の給付の奨学金をもらいながら生活をしています

これらを聞くと,日本人の考える研究室の生活とデンマーク人の考える研究室の生活にはかなり乖離があるなと感じます.

自由に使える3Dプリンター

最後に

やはり,金銭面での差が日本と大きくあるなと感じます.日本での研究室の規模や資金は,大学や国の支援というよりは,その教授陣の資金集めの能力によるものです.同じ大学内でも研究室によって資金力に差があります.また,資金が潤沢にあっても,建物はボロボロなんてこともあります.

留学から帰ってからよく思うのは,大学生の待遇どうかならないものかと毎回思ってしまいます.学費がタダで,なお,給付の奨学金をもらいながら研究をしている北欧の学生が羨ましいです.

興味がある学生は,研究室留学も面白いのではないのでしょうか.筆者は,したことがありませんが,いつかやってみたいなとも思います.また,この記事では,研究室に焦点を当てていますが,海外(北欧)での授業についての違いについても書いているので読んでみてください.

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Gullfoss
理系大学院生です!! デンマークに交換留学をしました.多くの学生に,理系学生,留学などの情報を発信していきます.

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