理系で留学は,必要なのか.はたまた,必要ではないのか.理系学部生で交換留学を半年経験した私が思うことを紹介しています.是非,自己に留学が必要かどうかの判断材料の一つにしてみてください.
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初めに
まず自分の胸に手を当てて考えてほしい.
「自分にとって留学が本当に必要だろうか?」
結論から言うと,私自身の意見は,先の質問の答えに従えばいいと思う.もし,「絶対に行きたい!」と強く願うなら,行けばいいと思うし,反対に行きたくないのであれば無理に行く必要もないと思う.留学経験者の多くの人は,「留学は絶対行くべき!!」と答えるのかもしれない.しかし,理系という枠組みにおいて考えるのなら,必須とまでは言えないと私は考えるからです.
最近,何事にもつけて ”グローバル化” と付けたがる気がする.でも,人生一度きりである以上,熱中するベクトルが留学でないならば,留学を無理に選択する必要はないはず.ただ一つ経験者として言えることは,もし迷っているならば,思い切って留学行く決断をしてほしい.それは,理系にとって ”英語が話せる”,”多様性の理解”,”留学の経験” を持ち合わせている人材はほんの一握りに過ぎないから.
理系にとって留学は必要なのか
留学経験が有利に働くことはあっても不利になることはないということです.また,英語が話すことができるかということにおいても同じで,理系の場合英語が話せない学生の方が圧倒的に多いことから,話せた方が有利に働くが,話せないからと言って不利になることはあまりないと思います.もちろん,読めない,書けないは致命傷になるかもしれません.
よく「日本の大学教育は遅れている」とか「日本の研究は終わった」という言葉を目にします.もちろん,自分も研究をしてる身として,それを感じる瞬間がないわけではないですが,余程最先端な研究でもない限り,日本でできない研究や使えない分析機器はそう多くはないと感じますし,世界と比べると十分な設備が整っている方に間違いないです.実際,日本に来る他国の学生から聞く限りだとかなり恵まれているのだと感じます.ですので,日本の教授陣の中には,わざわざ海外に行かず日本での研究で十分だと考える先生も一定数いるようにも感じます.もちろん分野にもよりけりだとは思いますし,アメリカ,イギリス,中国等と比べると,日本は劣ってしまうのかもしれません.
なので,理系が留学をするとなると,「なぜそこに行く必要があるのか」ということを真剣に考える必要があります.修士や博士での留学だと,そこの国の研究室にいく意味を見出す必要があります.
私は,学部留学で,理系ならではの英語力を身につけ,英語で議論できる能力を身につけたかったからです.またそれに加え,留学先の大学のランキングが上位の大学だったので,是非学んで見たいというのがありました.
忘れてほしくはないことは,決して留学先での授業や研究が全てではないということ.その過程である留学先での生活や成功体験,並びに失敗体験が自分を強くしてくるということは言うまでもありません.学部生の留学であれば,それを目的に留学するというのもアリだと思います.
理系留学経験者の貴重さ

上のグラフは,コロナ前の日本人留学生(大学生)の数の推移(2009-2019年)を示しています.留学生は増えているとは言うものの,実際は短期の留学生が増えているだけで,中長期の留学生は増えてはいないということ.多くの大学が謳っている”グローバル化”の多くは短期学生で,特に理系学生はカリキュラム上1ヶ月未満の留学が多いと推測できる.
そして,中長期のほとんどの学生は文系学生であるということ.理系の学生は必修科目があり,一度でも休むと落単になることも少なくない.また,文系のように単位認定をするといったシステムが無いところがほとんどだと思う.そうなると,一年休学という選択をせざるをおえず,理系にとってハードルが高いということ.
逆に捉えると,理系で中長期の留学をしている学生というのが,いかにレアな存在であるかということがわかると思う.もし,そこに価値を感じるのであるなら,休学という選択を取ってでも,是非思い切って飛び込んでほしい.
と言いながらも,私は幸運なことに自大学が単位を認めてくれたので,休学なしに卒業することができた.興味のある人は,下の参考記事を見てほしい.やはり一年休学というのはとても勇気のいることだというのはよくわかる.特に日本という国は,休学,浪人,留年,休養,自己にとって価値のある選択だったとしても,その人のことを ”遅れた人” という烙印をつけたがる.私も浪人をしたので,環境が変わり年齢を聞かれるたび,いじられたり距離を置かれたりと不快な思いは数えきれないほどしてきた.
世界という社会で考えると,日本社会の考え方はマイノリティーであることに気付かされるはずです.私は,デンマークの大学に留学しましたが,会う人皆年齢はかなりバラバラです.多くの学生が高校卒業後 ”ギャップイヤー” を経験していて,仲の良いドイツ人は,インドに2年間インターンをしていたり,デンマーク人は世界を回りたいと3年間休んでいたり,はたまたベルギー人は,1年かけてヒッチハイクでヨーロッパ一周したり,寮で仲良くなったイラン人のPhDの人は,キャリアとして大学に行っていたので,おじさんでした.なので,大学にいる学生の年齢はバラバラ.また,学科や専攻,研究室によって卒業する年数もまちまちなので,年齢なんて気にしてたらキリがありません.
「遠回りは決して無駄ではない」その言葉は間違いないと思うし,そう信じたい.周り道をしたからこそ,見えてくる景色も得られた経験もあるはず.将来,その回り道が自分にとってなくてはならないものだったと思える経験にすればいい.
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理系が学ぶべき語学力
英語が話せる人をイメージしたとき,きっと多くの人が考えるのが,テレビやYoutubeに出てくるような発音の綺麗な人たち.また,そのレベルの人たちが英語をできる人だと考えている人が多すぎる.
まず,理系学生が目指すべきレベルの人たちは,その人たちではないということ.私が考える理系の英語が話せるという人は,
「自分の研究内容を英語で発表し,議論できること」です.
手元に数学でも化学でも物理でもいいので,簡単な問題を準備してほしい.その解いた数式や解答をあなたは英語で説明できますか?かける,わる,累乗に積分,微分を英語で説明できる学生は多くはないはずです.そしてそれは,テレビやYoutubeに出てくるような発音の綺麗な人たちにとっても難しいことではないでしょうか.理系が学ぶべき英語はそういう英語だと私は考えます.
留学先での授業や生活の中で1番に感じたのは,私の英語力に興味がある人なんて誰もおらず,何を思い,どのように考えるかということでしかないというということ.
だからこそ重要なのは伝えることで,そこに発音や文法なんぞはあまり重要ではないということ.もちろん,上手く正しく伝えるためには,発音を綺麗にし,文法を正しく使うことは重要ではあるが,それは二の次です.
決して自分を着飾るために英語を学ぶのではなく,英語を用いて他者と意見を深め,新たな研究や知見の発見につなげるための手段でしかないのではないでしょうか.
英語が使える理系学生
英語が使える理系学生は間違いなく珍しく貴重な存在です.私自身の経験上,理系学生で英語が話せる学生にあまり会ったことがないからです.それは,国立だとか偏差値だとかは関係ないように思います.旧帝大でも話せない人が大多数でしょうし,逆にあまり有名ではない大学の学生の方が話せるということもあると思います.
ですが,学部,修士,博士の学生に上がるにつれて英語の重要性は増してきます.どんなに良い研究成果を出しても,それを日本の学会で,日本語での論文投稿をすると,その価値を下げる結果に繋がります.教授も学生が英語で投稿論文を書き,英語で国際学会に発表してくれる学生を,良い研究結果を出してくれるのと同等にほしい人材であるに間違いないはずです.また,それは就活でも同じことだと思います.企業も英語ができる理系人材は喉から手が出るほど欲しい人材ではないでしょうか.
日本人は驚くほど英語が話すことができない国だと帰国後強く感じました.良い研究ができる学生は日本にも多くいますが,英語ができる理系は貴重ですし,その両方は尚更貴重です.だからこそ,”理系の英語が話せる” そんな人材になれれば,他者と大きく差を広げられるのではないでしょうか.
最後に
「自分にとって留学が本当に必要だろうか?」
最初に投げた問いに今改めて答えるとどうでしょう.もし,留学をしてみたいという答えならあとは突っ走るのみです.
反対に,そうではないという答えの学生は,是非他に熱中できるものを見つけて突っ走ってください.ある人にとって重要だと思えることが,必ずしも自分に重要だとは言えないから.留学以外にも自己の価値を高められるものがあるのなら,それに是非取り組んで欲しいと私は願います.
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私が,デンマークを留学先に選んだ経緯と,生活の概略を書いてます.
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